ツールボックス・マーダー
- 2019.02.01
- シネラマ島奇談
新婚夫婦の越してきたレトロなアパートは、実は黒魔術にどハマりした変態が独自の魔術理論に基づいて設計したアメリカ版「三角屋敷」だった! アパート内部の隠し部屋を暗躍し、住人を次々に毒牙にかけてゆく殺人鬼! なんと恐ろしい! ……しかしそれにしても、住人の居住空間の延べ床面積よりも広いんじゃないかと思われるほどゆったりした平米の隠し部屋って一体!? アパートの管理人さんも、建物の大きさに対する住人たちの部屋の不当な狭さにいいかげん気づいてやってください! といったかんじのハートフル不動産ホラー。後半が面白かったです。
本作の監督はトビー・フーパー。フーパー先生といえば、かつてチェーンソーの正しい使い方を知らなかったばかりに、チェーンソーを殺戮兵器と勘違いし、名作『悪魔のいけにえ』を作ってしまったという悪魔のうっかりさんです。フーパー先生はあれから二十年以上たっても電ノコの正しい使い方を理解していなかったようで、本作でも回転ノコギリで人体切断を試みます。うっかりしてらあ。
更に本作では、フーパー先生は大工の職能も理解していなかったことが発覚。大工や修理工のよく使う電動ドリル・釘打ち機・巨大ペンチ・ハンマーといった大工道具を活用しながら人体破壊のかぎりを尽くします。ダメだ! このおじさんにはEテレの教育番組を見せるなどして、大工や修理工や食肉業者やガソリンスタンド従業員や保安官や遊園地運営者の正しいお仕事内容と、彼らがけっして殺人をなりわいとしているわけではない、という事実をきちんと教えてあげないとダメだ! でもこのおじさんに限っては、Eテレを見せても内容をきちんと理解せず、番組に登場するお兄さんやお姉さんやマスコットのきぐるみを殺して壁のフックにかけて飾る映画とか作りそうだからダメだ! もうこの人は、本当にダメだ! まったくもってダメだ!(ほめ言葉)
僕はとにかくこの人の作る映画の、イントロなし・ドンカマなしの殺人鬼登場シーンが大好きなのです。わっと出てわっと殺す。あとに残るのは静寂ばかり。これはもう芸術だね、もののあはれを感じるね!
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