団地七つの大罪
- 2019.03.07
- シネラマ島奇談
まずはこの、壮大でかっこよすぎるあまり僕が全文筆録するに至った冒頭のナレーションを黙読していただきたい。
見たまえ諸君、この白亜のアパート群を。
この巨大なすばらしき類型の美しさを。
これこそ現代の城だ。
われわれホワイトカラー族が、いや、日本人の大半を占めるミドルクラス3000万の人間が憧れ、夢に見る現代の城だ。
この砦の一角に入城を許されるのは、厳重な資格審査を経たうえに、わらの山から一本の針を拾い出すような、抽選という大難関を突破した者だけである。言うなれば、狭き門を通り得たエリート、選ばれた者たちである。われわれは誇りを持たねばならぬ。
日本人は長い間木と紙の家屋に住んできたが、しかし、現代の暮らしの中で、居住形式だけがいつまでもその古い習慣の殻の中にあって良いものだろうか。
この、鉄とコンクリートの集団住宅こそ日本人の現代的な共住形式でなくてはならない。生物は環境によって変化する。日本人の新しい人間像はこの新しい生活形式のなかから育ちつつあるのだ……。
……見たまえ諸君、この団地万能説を!
活気と希望に満ち溢れていたであろう当時の団地に僕も住んでみたかったよ。
しかしこの壮大なナレーションにもかかわらず、披瀝される七つの大罪が総じてしょぼい(のぞきとか)んですが、それはそれで団地感があってよかったです。
あるある、団地感あるわー。