キジムナー

キジムナー

ガジュマルなどの古木の精霊であり、沖縄を代表する赤毛の妖怪。水木しげる先生によるイッちゃってる目つきのキャラデザでもおなじみですね。あー、もう完全にキマっちゃってますよこれ。中島らもなみですよこれ。

主に子どもの姿をとり、髪が赤いだけでなく「体が赤い」「顔が赤い」「きんたまがでかい」などともいわれます。属性は火のエレメントで、旧暦8月10日に出る正体不明の怪火はキジムナー火と呼ばれています。

イッちゃった目で夜な夜な徘徊を繰り返しては通行人に絡んできんたまを揺らすという中島らもみたいなライフスタイルのキジムナー氏、常時キマっているせいもあってか、基本的にハイで人なつっこい性格です。

むかしむかし、沖縄在住の漁師の爺が「でーじティーブレイクさー」とか言いながら浜辺でストロングゼロかなんかを飲んでいると、赤い髪の子どもがやってきて「友だちになろう」「一緒にコカインをキメてクラブで踊り明かそう」などとせがむわけです。爺は「お前のような海んちゅのものとも山んちゅのものともつかないような者とは付き合えないさー」と断るのだが、赤毛野郎は問答無用で友だち承認リクエストをがんがん飛ばしてくる。押しに弱い爺はけっきょくキジムナーと友だちになり、精神年齢が近かったせいか意外にも意気投合しちゃったりなんかして、そのうち二人でドラッグやらストロングゼロやらをキメながら出漁するようになります。キジムナーはハイになると睡眠も取らずによく働くうえ、魚の片目しか食べない偏食児童なので、漁の稼ぎはまるまる爺の取り分。爺はたちまち財をなし、ヘーベルハウスで三階建ての御殿を建て、やがて貧しかった頃の清貧な心をうしない、「パンがないならサーターアンダーギーを食べればいいさー」みたいなノリのでーじ驕慢な人間になってしまいます。だもんで純粋な精霊と心が通うこともなくなり、アン・シャーリーばりにウザい赤毛のキジムナーに対して疎ましさばかりがつのるのでした。

「あたし、魚の目玉って大好きよ。あんたは? ほかのどの部分より倍もおいしい味がするわ。ああ、特に左目が最高だわ! そう思わない、爺?」

「そうさのう」

「おお、なんてすてきなの! きょうの夕方はまるで紫の夢みたいじゃない、爺?」

「言葉の意味はわからんが、とにかくすごいそうさのう……ところでお前、なにか怖いものはあるかい?」

「まあ、怖いものですって、マシュウ? そうね、あたし蛸が怖いわ」

「蛸」

「あとはそうね、屁がこわいわ。臭い屁がこわいわ」

「屁」

「他にもあるのよ。ああ神さま、どうかお願いです。鍋蓋だけは、熱い鍋蓋だけは私に近づけないでください。きゃーっ、神さま!もう一つお願いがございます。夜明けの鶏も! あのぞっとする啼き声を私から遠ざけておいてくださいまし、お助け下さい! 私の出来る限りのことはいたしますから、今すぐに!」

みたいなかんじで、ダークサイドに堕ちた爺は赤毛のキジムナーの弱点を次々と聞き出したのち、邪悪な笑みを浮かべながら御殿の門に生きたままのタコを打ち付けました。さらに自身はニワトリに仮装してヘーベルハウスの屋根の上に立ち、コケコッコーと高らかに啼きながらおならをブーブー放つ爺。知らない人からみたら、どこからどう見ても全方位的に狂人ですよね。どう見てもクスリかストロングゼロのやりすぎですよね。でーじ超ヤバイですよね。そんなわけで爺の評判は地に堕ち、捜査当局にもマークされ、そして爺の裏切りに怒ったキジムナーの呪いをうけ、数日寝込んだのちコロリと死んでしまったのだとか。でーじ超ヤバい。