手長婆

手長婆

あしながおじさんの対義語に相当する妖怪。あしながおじさんはニューヨークに棲息し、目をつけた少女とのパパ活に励む心優しい妖怪ですが、いっぽうの手長婆は千葉や青森といった地方の山中に棲み、水辺で遊ぶ子供を長い手で掴んで水中に引きずりこむというモーストデンジャラスな妖怪です。あしながおじさんと手長婆、どうして差がついたのか……慢心、環境の違い……

ところで、じつはシーフードに目がない手長婆。シーフードを食べたくなったとき、皆さんならどうするだろうか。シーサイドのレストランを予約する、近所のくら寿司に行く、あるいは銀のさらにデリバリーを頼む……と、ここまでは至って普通の光景なのだが……なんとこの婆、「シーフードシーフード、シーシーフーフーシーフーフー」などと謎の呪文を唱えたかと思うと次の瞬間! 婆の手がニョキニョキと伸びはじめた! 一体なにが起こっているのか!?

……と、ここでネタばらし。じつはこの婆、ものぐさパワーを特殊な体内器官「ものぐさ袋」に蓄積し、それを妖力に変換することで腕を自在に伸縮できる妖怪だったのだ。シーフードは食べたいけれど家から一歩も出たくないという手長婆は恐ろしく長い腕を器用に操作。茶の間のコタツから一歩も動かずして海産物を手づかみで次々とゲットするというのだから、ものぐさもここまでくると大したもの。ちなみに、ゲットした魚介類は面倒なので調理せずすべて生で食べるのだという。

「大丈夫、心配ないわ。採れたての魚なんだから。産地直送、とても新鮮よ」

そう言って生の魚を頭からバリバリかじる手長婆。しかしそれにしてもこの婆、ノリノリである。

ちなみに、残飯を捨てるのも面倒だったらしく、婆の家の茶の間跡地からは今も大量の貝殻が出土するのだそう。後世の人間もこれには思わず苦笑い。

だが世界には、もっとすごい婆がいた!
(世界のビックリ婆特集へつづく)